女子体操界の激震が続いています。
宮川紗江選手の会見を受けて出された塚原夫妻の反論の声明文について調べてみました。
目次
プレスリリースは言い訳ばかり
報道陣からの質問にはあまり答えず、「プレスリリースします。」と繰り返していた塚原光男日本体操協会副会長。けれどもその弁解声明文は言い訳に終始していました。
文書は、5枚にわたる長文で、謝罪から始まり、「1.塚原千恵子の言動について」「2、塚原光男の言動について」「3.今回の件及び今後について」という3つの項目にまとめられていたといいます。
弁明は5箇所で、すべて塚原千恵子女子体操強化本部長が言ったとされる部分です。
(1) 宮川選手の専属である速見コーチに対する「あのコーチはダメ」発言について。
7月15日の合宿中に宮川紗江選手は塚原夫妻に個室に呼び出され、速見佑斗コーチの暴力行為について「あのコーチはダメ、だから伸びないの。私は速見より100倍よく教えられる」と発言したと暴露された事実に対して「確かに宮川選手も認めているとおり速見コーチに暴力行為があったため『あのコーチがダメ』とは言いましたが、私が『100倍よく教えられる』とは言っておらず、このような発言をした事実はありません」と説明しました。「あのコーチがダメ」との発言についてだけは認めたのですが。速見コーチの暴力行為は肯定されるものではないにしても、宮川選手に「私と速見コーチを引き離そうしている」と感じさせるのに十分な発言です。
(2)「家族でどうかしている。宗教みたい」発言について。
同じく7月15日の2対1の聴取で「家族でどうかしてる。宗教みたい。」と発言した点について、「私は暴力について、宮川選手に対して『家族も暴力を認めているの?』と確認したところ『家族もコーチの暴力を認めている』と言っていたため、思わず、たとえとして『宗教みたい』とは言ってしまいました。この言葉については不適切だと大変反省しております」と、反省を込めて認めた。
ですがこの発言って失礼すぎませんか?宮川選手の家族を侮辱しているように聞こえます。
(3)「五輪に出られなくなるわよ」発言について。
この強烈なパワハラ発言については、「確かに宮川選手にそのようにお伝えしたのは事実です」と認めました。ただ、この発言についても「脅していない」と弁解が付け加えられていました。はっきり言ってこの発言がパワハラでなくてなんなの?という感じですが。「脅していない」という意味がわかりません。
(4)「2020に申込みをしないと今後協会としてあなたには協力できなくなるわよ」発言について。
2016年12月19日に塚原女子強化本部長は宮川選手に電話をかけ「2020東京五輪強化選手」に参加していないことに対して、こう発言したことは認めましたが、その理由についての弁解がありました。
(5) 速見コーチの暴力行為を認めさせるための誘導質問の存在について。
「暴力はあったんだよね、あったんだよね?」と誘導尋問のような発言を繰り返した行為については「正確にこの時のことをお伝えいたします」と記述があり、「私は宮川選手に対して、まず、『速見コーチによる暴力はあったの?』という質問をしたところ、宮川選手は無言だったため、私が再度『速見コーチがあなたに暴力をふるっているところを見た人がいるんだけど、暴力はあったんだよね?』と質問したところ、宮川選手が速見コーチの暴力を認めました。ただ、この点について誘導と言われてしまうのであれば、私の確認の仕方に落ち度があったと思っております」と、この発言や、その問答に問題があったことを認めました。
以上の5箇所は、宮川選手の発言を認めながらも言い訳に終始している部分です。
そしてなんと、宮川選手の言い分を真っ向から否定しているが次の5箇所です。
(6)「100倍よく教えられる」発言の完全否定。
「『100倍よく教えられる』とは言っておらず、このような発言をした事実はありません」と否定しました。
あそこまでハッキリ宮川選手が会見で言ったことを100%否定するのはすごいですね。
ですが宮川選手はこの日、フジテレビの「グッディ!」のインタビューに答えて、その時の発言をすぐにお母さんに伝え、お母さんがノートにメモで残していることを証言したのです。
(7)朝日生命体操クラブへの勧誘工作の否定。
これは、塚原本部長がこれまで長年やってきたとされるよそのクラブからの優秀な選手の引き抜きです。
様々な協会関係者の発言からも、コーチとの関係を様々な理由をつけて引き裂いて、所属クラブをやめるよう仕向け、朝日生命体操クラブに引き入れていたことが明かされています。
ですがもちろんこれについても塚原女子強化本部長は真っ向から否定しています。
宮川選手は7月20日に塚原女子強化本部長の付き人から「NTC(ナショナルトレーニングセンター)で練習できない場合は朝日生命でできる」「朝日生命の寮がひとつ空いている」「朝日生命で練習すれば(塚原)本部長もいる」と優しい口調で言われ、朝日生命の専門コーチの電話番号を渡されたことなどから、「朝日生命へ入れようとしていることを確信した」と、会見で言っていました。
「宮川選手が、私の付き人から朝日生命体操クラブへの加入を勧められたと、ご主張されておりますが、この点についても真実と異なります。私たちは、宮川選手に関して、一切、勧誘を行っておりません」
ここまで嘘を堂々と言えるって、本当に怖すぎます。日本体操協会ってなんなのでしょう?
しかも驚いたことに私の付き人というその人は、奥主貞子さんという方で、連日、テレビで自宅を出る夫妻の姿が映されていますが、そのとき千恵子本部長の運転手として、車のドアを開けている人です。そして彼女にはなんともうひとつの肩書があるのです。それは「日本体操協会審判委員」。東京五輪強化本部の総務も務めているのです!
審判委員って。おかしくないですか?「審判ににかかわる人間を付き人にしていること自体、普通に考えておかしいと思います。そういう人を付き人にできる強化本部長って、どんだけ権力あるんだって感じですよね。
(8)「五輪に出られなくなるわよ」発言の弁解。
その発言をしたこと事態は認めましたが、次のように弁解しています。
「宮川選手の直近の成績が振るわず、足首を怪我していたことを踏まえ『グラスゴー以来、活躍できていない。だんだん成績が落ちてきているでしょう。そして、このような成績や現状のままだと五輪に出られなくなるわよ』という内容を伝えたのです。具体的には今年の全日本種目別選手権で、宮川選手は、得意の跳馬やゆかで成績が振るっていませんでした。また宮川選手は7月4日から10日までのオランダ遠征に選考されて現地に派遣されていましたが、直前の足首のケガで現地の大会の競技には参加することができませんでした」
はい、またです。
最近成績が振るわなくなっているから、そんなことでは五輪に出られなくなるわよ
という意味だったと言いたいたいのですね?
確かに宮川選手は6月の全日本種目別選手権の跳馬7位、床7位でした。けれど、7月15日の面談の目的は、宮川選手の現状に関するカウンセリングではなく、速見コーチの暴力行為に関する聴取だったのです。
呼び出された目的と話の流れを考えれば「五輪に出られなくなるわよ」発言を
宮川選手が速見コーチの暴力行為を否定したらどうなるのか?→五輪に出られなくなる
つまり
「私の訊いたことを否定したら五輪に出られなくなるわよ」
と感じるのが普通ですよね。
(9)「2020に申込みをしないと今後協会としてあなたには協力できなくなるわよ」発言についての弁解について。
これについて塚原女子強化本部長は「速水コーチが男性で床の振り付け等の指導を女性コーチに当たらせることが2020東京五輪強化選手でないと利用できない。だからそのような発言をした」と弁解しました。けれどこれは2020東京五輪強化選手のメリットを説明しただけで「協会として協力できない」となぜ言ったかの理由説明にはなっていません。
10)高圧的態度の否定について。
宮川選手は、高圧的な態度に「恐怖を抱いた」と主張しましたが、その点については「そのように宮川選手に対して思わせてしまったのであれば、私の態度に問題があったかと考えており、大変申し訳なく思っております。ただ、今後、第三者委員会に提出予定である、私たちが保有している宮川選手との録音内容をお聴きいただければ、私が決して高圧的な態度ではないということはお分かりいただけると思っております」と、宮川選手との面談の録音があることを明らかにしたのです。
ですが、この録音についても大きな疑問があります。
7月15日の面談に同席した塚原光男副会長は、(3)の項目にこういう弁解を掲載しました。
「『速見コーチが除外されたら困るのは、あなた。今すぐ(コーチとの)関係を切りなさい』との発言をしたと、お話されておりましたが、正直に申し上げて発言内容について正確に覚えていないところもあります。言い訳に聞こえるかもしれませんが、大変申し訳ございません」
録音があるのならば、なぜ正確に覚えていないのでしょうか?
テレビ朝日系の「報道ステーション」では、塚原夫妻が提供した録音データが公開されましたが、問題とされるやりとりの部分ではありませんでした。高圧的な態度を否定する証拠のはずの録音が、宮川選手がそう感じた7月15日の面談のものでないなら、何の証拠にもならないですよね。
まとめ
いかがでしたか?
今回のプレスリリースは言い訳、あるいは嘘ばかりということがお分かりいただけたのではないかと思います。
こんな嘘で塗り固めた反論の声明文を堂々と出してくるなんてひどすぎると思うのですが、塚原強化本部長はここへきて
「金の力でもなんでも使って絶対勝ってやる」
と意気込んでいるといいます。
協会や夫妻の周りにはそれを手助けしようとする人が少なからずいるというのですから、本当にどうなるのでしょうか。
「選手ファースト」という言葉が何か虚しくも聞こえてきてしまうようですが、多くの同じ経験をしている宮川選手の先輩たちにも同じ思いがあるといいます。
黒い力に負けないで頑張って欲しいです。
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